博愛如我又來介紹這個月相當有興趣,也非常想趕緊一讀的新書們,若有人在意,得先說聲不好意思,因為這個月是維持快兩年來首度沒有本月選書的一次,最近處於水深火熱狀態,真的心有餘而力不足;不過,很快也會有對這裡極其重要的消息準備和大家分享,請稍微期待一下,可能有些眼尖的朋友已經發現了,不過現在容我暫時賣個關子,就先將焦點放在近期推出哪些令人目不暇給的好書上。
⠀⠀⠀⠀⠀
⠀⠀⠀⠀⠀
如果四月份有選書,這幾本就是我的首選名單。首先是,世上最有可信度的推書大師美國前總統歐巴馬去年最愛小說之一《#消失的另一半》,作者布莉貝內特曾說,這本書創作的靈感,是她與母親的一通電話。母親說起自己位在美國南方路易斯安那州的故鄉:「那個小鎮的人通過結婚,來讓自己的小孩看起來一代比一代白。」她聽完立刻拿起筆記下這件事情,從此成了小說《消失的另一半》的主題。16 歲那年,雙胞胎姊妹一起逃離家鄉。妹妹絲黛兒假扮白人,成了富太太,終於得到想要的一切。為了隱瞞身世,一生戰戰兢兢,與女兒、丈夫之間總是隔著謊言。姊姊德姿蕾重回出生的小鎮,守候她們年邁的母親,日子雖然踏實,卻從未忘記大城市裡的精采生活,更放不下從此失去消息的妹妹。30 年後,姊妹倆的女兒也離家遠行。兩位少女像她們的母親當年一樣,各自背負著創傷與想望。當兩人遇上彼此,新世代躁動的心靈不禁揭開陳年的家庭祕密,所有人在時間的長流中,終要承擔起自己的選擇。這個故事橫跨三代人,綜觀劇烈變動的 40 年歲月,從種族、階級到性別,人們永遠在外界期待與自我之間拉扯,對未來茫然、對親密關係寄予渴望。當我們決定為了未來賭上過去,生命裡消失的另一半,是成長必然的代價?還是終生放不下的過往?
⠀⠀⠀⠀⠀
其次為葡萄牙文壇超重量級作家莉迪亞豪爾赫的經典作品《#畫鳥的人》,這座葡萄牙南方的古老大宅,距離大西洋夠遠,無法聽到暴風雨中的碎浪,但也離得夠近,足以使牆壁被空氣中的鹽腐蝕。1950 年代,原是熱熱鬧鬧的務農大地主,八個兒女卻相繼出走,如同當年的華特。空蕩的宅院中,只剩老范西斯科、大兒子庫斯多喬、瑪莉亞艾瑪和四名孩子。她,庫斯多喬和瑪莉亞艾瑪名義上的孩子,總是盡力讓自己既不在場也不缺席。她一直都知道瑪莉亞艾瑪嫁給了兩個男人,三個弟弟並不是她的親手足,也知道她的所有身分證件都是謊言。但這都無關緊要,因為她所珍惜的一切也在這座大宅。直到那年初冬,家族中的浪蕩逆子,那個華特大兵回來了。1963 年冬日,他就這麼出現在眾人面前。他的回歸,讓所有人的祕密起了變化,埋藏在地下的家族之謎破土而出。那個雨夜,華特駐足於樓梯上,一如之後他偷偷探視女兒的每個晚上。她其實都知道,他的離去,他的到來,他的家書,他畫的鳥圖。她都知道。此書以雋永文字、優美文筆,喚起了現今處在不斷變化世界中的人們,透過大宅中那名幾乎無聲的女孩之眼,訴說了那段葡萄牙 1940 至 1980 年代農村社會的氛圍,寫盡大家族的繁盛與衰敗。
⠀⠀⠀⠀⠀
再者,本月最受矚目的翻譯文學作品莫屬卡爾奧韋克瑙斯高《#我的奮鬥》,因寫作內容過於真實,在出版後曾多次遭受親人反對,儘管如此,評論者卻認為這樣的露骨反倒滿足了人們最深處的窺視欲。《我的奮鬥》第一冊甫出版就迅速引起熱議,除了暢銷挪威,也迅速售出各國版權。全六冊的半自傳體小說,主題分別為:死亡、愛情、童年、工作、夢想與思考,每一冊都從生活中洞察出深刻反思,以樸實的日常經驗喚起讀者強烈的共鳴。作者不避諱揭露的事實的寫作風格也是造就出如此精彩敘事的原因。在克瑙斯高的寫作策略成功後,北歐也有越來越多作家紛紛效仿,引起一波克瑙斯高的美學風潮。系列初始,克瑙斯高就以父親的死亡作為一切開端。他的父親嚴肅、寡言,對待工作十分認真,卻是個失職的父親。父親的死重新讓他想起了曾與他相處的一段童年時光,他是如何在那樣的威嚴底下成長,又是如何從中找到破口學會叛逆。父母離婚後,父親與他的關係變得更加疏遠,得知父親死訊,想起上一次單獨與他談話,竟已是一年半以前的事情。晚年的父親儘管試圖在他面前維持著端正、得體的樣子,但實際上已落魄不堪,終究端正的形象沒能印入克瑙斯高眼中,而那間父親死去的屋子,更是充滿了大量的垃圾、空酒瓶、髒污……那是巨大孤獨的極致。
⠀⠀⠀⠀⠀
以及,個人非常熱愛的藝術家芙烈達卡蘿的傳記小說《#世上沒有純粹的黑:芙烈達的烈愛人生》。她,芳齡 18 就遭逢嚴重車禍,公車的鐵桿貫穿她的陰部與腹部,導致終身殘疾,兩次截肢。她說,當全身都劇痛無比,你就感覺不到疼痛了。她,與情場浪子結婚,被無數次深深背叛,與他一度離婚,一度復婚,並為他經歷三次流產。她說,遇見他,是比遭逢車禍,還要可怕的災難。她,曾在所有人都唱衰的情況下堅決相信愛情,結果卻被至親至愛的人們雙雙背叛。她說,人對痛苦的承受能力,遠遠超乎你我能想像。她,模仿愛人,出軌探索自我慾望,潛心藝術創作,卻以靈魂知己的身分贏回了愛人,以及死亡病榻前十餘年來的不離不棄。一個為藝術與愛情滿身傷痕,最終燃燒殆盡的烈火女子。一位站在壁畫大師身旁的陪襯,最終成為讓所有男人都失色的世紀天才。一生與苦痛相伴,卻從不絕望頹廢,昂首面對生命中種種殘酷的時刻。她,是芙烈達卡蘿,你再也不會見到如此堅韌的女子。
⠀⠀⠀⠀⠀
吳爾夫的《#普通讀者》也是我一直想讀,卻苦無機會補上的作品,終於等到此書的重新問世。她以隨筆的形式,沒有教條、不帶成見、無拘無束地談著自己對作家與作品的印象,而她的對象,就是與她同樣熱愛閱讀的「普通讀者」。博覽群籍的吳爾夫,以平易的筆調,如數家珍地為我們介紹了康拉德、契訶夫、勃朗特姐妹、珍.奧斯汀、蒙田、托馬斯‧哈代,以及我們不熟悉的一些作家的生平、作品、寫作生涯和趣聞軼事。她讓這些人物起死回生,在讀者面前活靈活現,字裡行間不時流露她特有的敏銳、機智與幽默,讓向來被視為枯燥的文學評論發出迷人的異彩。從吳爾夫的漫談中,能清楚感受到她對閱讀的熱愛,以及她對文學、歷史、人生的細膩觀察與思考。想讀懂吳爾夫,本書絕對是最容易入門的作品。另一本相當有意思的小說是法國作者尤安巴爾貝羅《#我在西伯利亞的監獄》,據說比電影更電影,也是一場驚心動魄的真實追獵行動。事發在距離貝加爾湖不遠的地方,就在我打造美滿家庭的伊爾庫茨克,東西伯利亞的首府。那是個早上,一群蒙面人突然闖進家裡,五歲的女兒嚇到大聲尖叫。我在她面前遭到逮捕,然後被毆打、審問,更意想不到的是,他們竟然指控我對自己的女兒不軌。暗處有一夥人啓動了一部毀滅機器,粗暴而無情,擁有格別烏為它發明的名字:黑資料。他們揚言要將我關進黑牢,讓我永不得翻生,因此我的逃亡行動,就此展開。
⠀⠀⠀⠀⠀
科幻迷不容錯過的經典,艾西莫夫《#永恆的終結》,戰爭、瘟疫、地震、洪水,太多的苦難交織成人類的歷史。如果能夠操控時間,在過去未來億萬年的時間裡自由穿梭,在某些關鍵的時刻改變現狀,那麼,我們是否就能夠操控歷史?如果歷史能夠設計,那麼,人類是不是就可以活得更好?於是,在 27 世紀,有人發明了「時間力場」,創造出一個超越時空之外的領域 ──「永恆域」,匯集了來自不同世紀的少數人。他們隱藏在時間之外,暗中監督人類的歷史發展,在關鍵的時間點製造微小的改變,避免真實的世界發生重大災難,危害到人類的生存。他們叫「永恆人」。「永恆人」的使命,就是保護人類,確保人類幸福。主要分成三種專家:觀察員、計算師、執行人。觀察員負責收集真實時空狀態的資料。計算師負責研擬改變真實時空狀態的計劃,並分析這些改變對未來的社會和人類的影響。執行人負責執行這些計劃。他們的行動稱之為「最低程度的必要改變」,用最少的傷害來為人類創造最大的幸福。例如,在某個時間點打開一扇門,就會創造出驚人的結果。然而幸福是必須付出代價的。當永恆人發現某些發明創造會引發嚴重的後果,他們就會及時阻止那些東西出現,於是,在永恆人的保護下,許多科技和藝術都流失了,人類的進步停滯了。於是,在漫長的十幾萬個世紀裡,人類幾乎沒有改變。但奇怪的是,永恆人無法進入 70000 世紀到 150000 世紀之間的時空。他們稱之為「隱藏的世紀」,那裡似乎有某種奇怪的力量在阻擋他們。
⠀⠀⠀⠀⠀
還有相當喜歡的作家之一史蒂芬褚威格《#人類群星閃耀時》出了德文直譯新版,本書德文原題 Sternstunden der Menschheit,意指「人類的偉大時刻」,以戲劇性的敘事,書寫真人真事,體現歷史人物面對人生轉捩點時的內心曲折。褚威格將這種體裁命名為「歷史特寫」,每一篇均在在反映出他當時閱讀到並深受感動的史料文獻,以及他對時局、對文明的深刻關懷與無盡憂思。世間唯一不變的,就是變化永不停息;是非成敗的定義,總也說不清。積累多年的功勞與苦勞,可能因一秒鐘的猶疑而被全盤否定;也或許你一夕之間享盡眾人掌聲,隔天一覺醒來卻被同一批人唾棄。當故土再無容身之處,有人選擇在世界盡頭向不朽逃亡,力爭一線生機;也有人甘冒大不韙的罵名,只為掀起貫徹理念的革命。文明的進程正繫於人的一念之間,無論功成或飲恨,他們都在歷史上留下濃墨重彩的一筆,成為指引後人方向的閃耀恆星。《人類群星閃耀時》截取西塞羅、拿破崙、歌德、托爾斯泰、列寧、威爾遜等人生命中的關鍵一刻,透過褚威格洞察人心的慧眼與才氣縱橫的妙筆,讓他們的故事不再只是死板的知識,而是慷慨激昂又扣人心弦的勵志經典。
⠀⠀⠀⠀⠀
迫不及待想展讀的華文作品,當然必須是這本洪愛珠《#老派少女購物路線》,她自小看著有頭家娘風範的外婆與母親,進出廚房,起灶架鍋,張羅數十家人員工日常吃食,宴請東南亞與中東等地賓客,哄嚷熱烈,直到滷肉飯、蒸冬瓜肉餅、芋棗甚至一碗煲粥,俱成為她日後的念想。她曾與外婆、母親,三代女子,穿行在大稻埕與永樂市場,買鮑參翅肚、麵龜椪餅、胡椒肉桂蠶豆,見識老鋪的講究,練就一套對古早物什的擇選標準。她熟稔蘆洲湧蓮寺周邊,在旺鋪裡食切仔麵黑白切與米苔目,飲青草涼茶,更向在地攤商習得剁雞的技巧,與若干習俗規矩。如此種種,養出她一雙識貨的眼睛,一根敏銳的舌頭,一個老派的靈魂;更化作筆下時而雍容深情、時而輕俏意趣的篇章段落。「長長的百年的大街上,四顧僅餘我一人。」當至親家人一一遠行,她最終成為一個自擁廚房的女子。然循著吃食滋味,她重回那仿如傳說盛世的親族過往,再現早輩人的心志與作風。她且飛港島,尋覓那一路喝到大的福建茶行鐵觀音;從曼谷買齊各尺寸的猴桃標白藥油;自檳城拎回一口像似外婆「烏鼎」的印度黑鐵鍋……老食、老物、老鋪、老市場,是回返時間的甬道,是追尋記憶的線索。她還以此學會撫慰自己,做人待人,並學會看人間煙火,安身定心的過日子。
⠀⠀⠀⠀⠀
崔舜華《#貓在之地》則是她第二本散文集,刻劃一切離聚的傷痛怨咒與暴烈激昂,逝去的碎裂的愛於焉拾遺湊整。生而在世,愛恨加身無可抵禦,於是紋身以痛以咒語,也豢貓拾物以眷戀寄情,然而體內的魔,對愛與美的渴求,未有被鎮壓的一日。詩辦不到的交給散文,於是崔舜華再次將濃烈情感佐以酒精尼古丁與無數藥片,吞吐成如詩的字句,甚而比詩更危險,更袒露,更濃烈。另一本香港作家鍾耀華的
《#時間也許從不站在我們這邊》收錄了作者從 2016 到 2020 年底寫下的文章,呈現他在後傘運時代的思索歷程;思辨與抒情,智性與感性,經常在他的文字中並存不悖,難以歸入既有文類,卻形成一種破格文學之美。而這份美,是來自於一個人不與世界的不可忍受尋求和解,選擇直面痛苦、殘酷與不義,同時仍渴望超越。「時間也許從來不是站在我們這邊,問題只是我們是否願意站在良知的一邊。」作者經歷城市起伏的流變,見證歷史再開的瞬息。現世為每個人繪製肖像,他拒絕順從,以寫作贖回主體,用文字重建、叩問自我與世界的關係。
⠀⠀⠀⠀⠀
日韓作品也包括日前推薦過的權汝宣《#黃檸檬》,透過三名共同經歷一起駭人聽聞的「美女高中生兇殺案」的女性視角,從不同立場、處境,裡裡外外探問這個社會的目光是如何強加在人們、在女性身上,思考創傷過後數度翻轉的善惡、生死、存在等種種命題。著沉魚落雁之貌的海彥,據說美得危險致命年僅十九歲的她,卻被發現陳屍在學校附近的公園花壇,頭部遭到盾器重擊,雖然社會高度關注,但兩名嫌疑較大的男同學皆因有不在場證明而使案情陷入膠著,最終不了了之。一條性命的香消玉殞成為事實,罪惡感卻會毀了好幾個人的人生,顫抖掀開長年覆蓋的薄紗方能察覺到,原來走過這一遭的每個人都各自背負著恐懼而活,抱殘守缺,踽踽獨行,以及一份受孤獨百般侵蝕下才緩緩浮現的失落、理解和釋懷。
⠀⠀⠀⠀⠀
其他是新田次郎文學賞、未來屋小說大賞與靜岡書店大賞三冠王的得主伊與原新《#月亮前方三公里》,透過六個受挫的心靈,六段人性的考驗,六篇理性與感性交會的暖心物語,展現自然紋理與情感肌理的動人凝視,人生本來就充滿了後悔,但有時候,即使這樣也無所謂。還有,睽違多時的安倍夜郎《#深夜食堂23》,章魚先生的香腸、七草粥、八寶菜、辣油蔥豆腐、蒟蒻生魚片、芋頭雞鬆汁,每一口滋味,每一種愛的形式,持續每晚在這裡,與等待它的人相會。安倍夜郎筆下的《深夜食堂》裡,每則故事獨立成篇,不必擔心跟哪個角色不熟,突然想念哪道菜就能翻閱,想進去坐隨時可以從任何一集坐進來。在這裡,每道料理雖然獨立,吃入口中的感受卻是共通的。透過 14 道日式家常菜,參與這些食客的人生際遇,時而溫馨,時而開懷,偶爾也令人鼻酸。簡短的是故事,漫長的是人生,持續邀請你掀開暖簾入店來,用他們短短的故事,陪伴你面對長長的人生。
⠀⠀⠀⠀⠀
壓軸的兩本都極具分量,跟磚塊書一般厚重。先看橫山秀夫的《64》,關於一件 14 年未破的綁架案,道盡了人性的幽微暗湧。昭和 64 年只維持了短短七天,猶如海市蜃樓,但這一年確實存在。就在這一年,犯人綁架殺害了一名七歲女童,躲進了平成到來的歡呼聲中,而這起事件在警界暗地裡的代稱,正是「64」。三上信義,前任刑警、現任 D 縣警媒體公關、女兒失蹤中的父親,正在焦頭爛額的處理記者們針對交通事故犯人匿名問題的嚴重抗議。這時他又被告知,統領全日本 26 萬名警察的警察廳長官要來視察,特別是針對公訴期將屆的「64」懸案。更麻煩的是,被害者家屬還拒絕接受長官的慰問。為了說服家屬,三上設法探究背後的原因,沒想到竟然受到刑事部的全面抵制。在各方夾擊與壓力之下,三上意外得知了長官前來視察的真正目的。然而,一波未平一波又起,面臨巨大危機的 D 縣警,竟又迎來了另一起重大的案件。全書以警察體系為背景,細膩感人的描寫,緊張、緊湊又峰迴路轉的劇情,加上令人爆哭的結局,構成了這部當年未出版即轟動的長篇鉅作,全球讚聲不斷,公認為橫山秀夫小說世界的顛峰之作。
⠀⠀⠀⠀⠀
最後是多次介紹過、含金量極高的諾蘭信徒聖經《#諾蘭變奏曲:當代國際名導 Christopher Nolan 電影全書》,本書作者,同時也是美國著名影評人的 Tom Shone,完整紀錄了諾蘭導演之路至今的每一部作品,深入探索理念、製作、編劇、攝影、美術、剪接、配樂各層面,依序以「方向」談《跟蹤》,以「時間」談《記憶拼圖》,以「感知」談《針鋒相對》,以「空間」談《蝙蝠俠:開戰時刻》,以「幻象」談《頂尖對決》,以「混亂」談《黑暗騎士》,以「夢境」談《全面啟動》,以「革命」談《黑暗騎士:黎明昇起》,以「情感」談《星際效應》,以「生存」談《敦克爾克大行動》,最後以「知識」談疫情時代下的中流砥柱《天能》。內容則從諾蘭的成長生活,求學過程,電影如何影響他的童年,文學、建築、《星際大戰》、《2001 太空漫遊》如何拓展他的心智,《銀翼殺手》、《異形》如何奠定他對「導演」的想像,大學時克難地拍攝出學生電影,到《記憶拼圖》的四處碰壁而後一鳴驚人,一切鉅細靡遺,目前已經完食,且讀得過癮非常。
⠀⠀⠀⠀⠀
⠀⠀⠀⠀⠀
⠀⠀⠀⠀⠀
(以上文字節錄自各出版社書介。)
異形奇花結局 在 劉明昆的創作世界 Facebook 的最讚貼文
ASAKU® X Dragon Life
Part.1
この本の全13章。
アサク伝X真龍の魂
原作: 劉明昆
訳者:ZiON
あらすじ
神説年暦36772年
『神説大陸』の地表にある『人間界』『妖精界』『幻獣界』に、緑色の『鏡返ノ核』が出現し始める。毎回の出現場所が不定、中から核を守るための小さな魔物が同時に現れる。出現して24時間後赤色に変化し、半径一キロあたりにて『逆時震盪』でエネルギーを放つ。その力によって時間が過去へN年分に巻き戻し、そしてより強い魔物と、核を守護する『鏡返核獣(ミラーコア獣)』が召喚される。一つの『鏡返ノ核』に一回しか『逆時震盪』が発動しない、が、コアが出現するだけで周囲にいる動物や魔物の狂暴化を引き起こす。
『鏡返ノ核』の出現頻度が約3~7日、現在、コアを破壊する方法が見つかっていない。
『逆時震盪』が発生すれば、半径一キロの範囲内で過去へN年分のタイムリープが起こり、有機物でも無機物でも時間がN年分巻き戻される影響を受ける。例をあげるとつまり、「その場にいる人間はそのN年分若返る」という、実際の存在時間がNより少ない場合は、存在ごと消えることになるが、その範囲から出ると元通りに戻る。単なる時間の巻き戻しではなく、コアを守る魔物も多く出現するのと、そのN年前に存在していた者も一緒に現れるが、魂の持たない攻撃的なゾンビになってしまう。それでも、亡くなった人に会いたい人にとってはどうしても、期待を持ってしまうことでしょう。
魔物による破壊と、どれくらいの時間が巻き戻されるかは予測不能なため、誰も予兆が出る時に影響範囲内にとどまらない。『逆時震盪』が起きれば、逃げるしかない。
神説大陸に存在する種族の中で唯一、『逆時震盪』に影響されないのは精霊族だ。そして、『鏡返ノ核』は精霊界にだけ出現しないと言われている。理由こそ不明だが、『逆時震盪』に影響されない絶対的な防御力を持つ精霊でも、コアを破壊する能力がなく、魔物の出現を阻止するのには封印しか手段がない。
精霊聖王の命令により、『精霊界』光族の封印士・アサクとその仲間たちは、『鏡返ノ核』の出現場所を予測し、『逆時震盪』を測れる【不帰ノ羅針盤】を手に、“『逆時震盪』による危害と大量に出現する魔物の原因・『鏡返ノ核』を封印すべく”と、世界へと旅立つ。
第一章:封印士アサク(Action Chapter)
神説年暦36722年 8月12日 月曜日 午後三時
人間界の『フィル王城』の西南方向にある小さな村『エデンの村』では、『鏡返ノ核』の出現によって、村人たちを撤退させるべく、フィル王城から発遣された軍隊が、人々を守るため魔物と戦う。コアが赤色に変化し始め、残り時間30分あたりで、『逆時震盪』による大量の魔物に備えるため、軍隊が戦線を下げて村の外に包囲網を張ろうとしたその時、布陣の手前に急に『折畳ノ廻廊』が現れ、中から青い服に白マント、【聖印短劍】を持つ魔法使いらしき若い男と、その隣にピエロのようなぬいぐるみと、羽をもつ獅子、そしてかわいらしい女の子が一緒に出てきて、そのまま村へ向かっていく。慌てて止めようとする兵士に、男がこういう。
アサク「俺は精霊聖王のご命令により『鏡返ノ核』を封印すべくここにきた精霊光族の封印士、名はアサクだ。あんたたちみたいな役に立たない小物は早くどっかに逃げるんだな」
兵士 「な、この無礼もの!」
となりに立っている女の子がアサクにストレートを一発かまして、礼儀正しくこう言った。
イリヤ「精霊土族の猛獣使い・イリヤと申します。兄のご無礼をお詫びいたします。こちらの軍隊をお率いになっている将軍様はどなたでしょうか」
この時、将軍らしき男が布陣から出てきて、礼儀正しく挨拶をする。
スタール「精霊界からのお力添え、感謝いたします。俺はフィル王国軍団団長・スタールと申します。どうかコアを封印し、危害をお治めくださいませ」
イリヤ「村にはもう全員撤退しましたでしょうか」
スタール「ええ、全員撤退させました」
アサク「よし、なら安心して暴れるんだな!」
そう言って、ピエロのようなぬいぐるみと羽をもつ魔獅子を連れて村へ駆け込んで、魔物を戦うためにコアへと前進する。
イリヤ「イリアは魔獣の狂暴化について調査するために来ましたの。コアの影響で普段おとなしいものでもとても攻撃的になってしまいますので、どうかお気を付けてください」
イリヤはスタール団長へ一礼してからアサクに続けて村へと入った。
大量の魔物が襲い掛かる。アサクは【聖印短劍】で迎え撃つ。【聖印短劍】に切られた魔物はすべて封印術によって身動きを取れず、そしてその属性の力を短剣の中へ吸い込んで蓄えることができる。ほかの物に触れても同じ効果で、例えば石なら土属性の力を吸い込むことができる。
アサクが魔法を発動するのには、左手に正三星陣、右手に逆三星陣を放ち、吸収した属性の力を手の魔法陣に付与すれば、陣魔法で攻撃できる。敵が複数の場合は逆三星陣で拡散式の魔法を、一点攻撃する場合は正三星陣で集中式の魔法を発する。だが陣魔法の威力は、吸収した属性の力強さで決められる。
イリヤは【愛のムチ】で戦う。このムチに叩かれると、悪の魔獣は浄化され、正常の魔獣ならおとなしくなって攻撃してこなくなる、イリヤの友達になって一緒に戦ってくれることも。
コアに近づければ近づくほど敵が強くなり、アサクが一気にコア近づけることを決めて、【聖印短劍】をしめて、ピエロのようなぬいぐるみへ叫ぶ。
アサク「来い、ゴーストカード! 【日輪ノ剣】へ幻化してくれ!」
ピエロのぬいぐるみが【日輪ノ剣】へと変身し、剣身から太陽のような輝きを放つ。アサクがこの神剣を振りかざし魔物を迎え撃つが、日の光に当たらないところに入ってしまう途端に、剣の輝きが弱まり、力を失っていく。この時に剣からゴーストカードの声が発した。
ゴーストカード「だめです! 光のないところだと【日輪ノ剣】は力を失ってしまいます! もうすぐ日が落ちます。早く片付けないと!」
アサク「わかってる! すぐ片付けるよ」
アサクが魔獅子の背に飛び乗り、コアへ駆け込む。もうすぐ赤くなるコアを前にして、突然、どこか赤子の鳴き声が聞こえた。声を辿ってみると、コアのすぐ近くにある民家の隅っこに隠れている、赤子を抱えている若い女を見つける。
アサク「やばっ! 間に合わない!」
そう言って、アサクが若い女を、イリヤが赤子を抱き上げて、すぐ村の外へ出ようとしたが、時はすでに遅く、『逆時震盪』が起きてしまった!
強烈な震動波が拡散し、周りの景色も変化し始めて、女は塵となり消えていく。なのにまぜか、イリヤが抱えている赤子はなんの変化も起きなかった。驚きながらもイリヤは悲しく叫ぶ。
イリヤ「みな離れたって言ったのに! なんで!」
アサクが懐に入れてある【不帰ノ羅針盤】をみて、巻き戻された時間はちょうど80年。ゴーストカードがアサクに先にコアを処理しないと危害が広がると進言した。イリヤに赤子を守って村から離れるように指示するが、なぜか赤子が起きてからアサクにすっかりなついて、抱いてもらわないとすぐ泣き出す。仕方なく赤子をおんぶしてコアの封印に手掛けるアサクは、イリヤにお父さんって揶揄された。
アサク「あーもう、うるさい!」
赤子がその怒鳴りで泣き出してしまい、二人が同時に人差し指を口の前にかざして「しー」って言ったらまた静かになった。
アサク「コアを守護する魔王が出てきたな、とどめをさしいこう。さっさと任務を終わらせて帰ろうぜ」
このコアの守護魔王が巨大な食人花で、毒をもつ粘液とつるで攻撃してくる。アサクは行風術を使って攻撃をかわしながら飛んでくるつるを切るが、なかなか近づけてとどめをさせないでいる。
奇妙なことに、赤子は戦いの真っ最中でもまったく暴れず泣かずに、すごく静かだった。
イリヤがさき手懐けた短足イノシシを乗って攻撃を試みるが、魔王が強すぎて逃げ回ることしかできない。
この時にもう日が落ちてすっかり夜になってしまった。
ゴーストカード「やばい! もう日の光が――」
そう叫んですぐ【日輪ノ剣】からもとのぬいぐるみの姿に戻ってしまった。アサクはやむを得ずに【聖印短劍】で迎撃する。
アサク「くそ! 【聖印短劍】じゃ効果がない。吸収した属性の力が弱すぎる、もっと大きな炎じゃないとこいつを燃やせない!」
そして魔獅子に向かって叫ぶ。
アサク「俺に炎の攻撃を三回してくれ!」
魔獅子は宙返りして距離を取り、アサクに向かって、口から巨大なファイヤーボールを吐き出す。
アサクは左手を高く上げて手のひらをかざし、正三角形の魔法陣が魔獅子が放たれたファイヤーボールを吸収した。高いところへ跳んで、すぐ食人花の口の前に駆け込み、左手が拳に握って後ろに引き力を蓄えると、三つのファイヤーボールが一つに集中!
そして手を前にかざし、拳を開けて魔法を放つ。
アサク「正三星陣魔法! 火炎竜巻!!」
猛烈な火炎が食人花を燃やし尽くした。アサクはすぐコアの前に行き、透明な水晶で作られた箱【聖獄ノ籠水晶】を持ち出して、表面に刻み込まれている呪文で封印術を発動する。封印を行う間は魔獣がまた襲い掛かるが、魔獅子が守ってくれたおかげでみな無事だった。
眩しい光が放たれ、結界が築かれた。コアを無事封印したが、周りの景色はもうもとには戻れない、80年前のままだった。
助かった赤子を村人に渡そうとしたが、みな”あいつは悪魔の子だ”と騒ぎだして、誰も引き取ろうとしない。それは、赤子の母親が倫理を反して、父親が誰なのかを明かさずにその子を産んだからだ。赤子はなぜかアサクから離れようとしないし、仕方なく連れて行くことにしたふたり。イリヤは手懐けた短足イノシシとお別れをしてから、【折畳ノ廻廊】を起動し、二人は精霊界へ戻った。
第二章:防ぎきれないこと
神説年暦36722年 8月13日 火曜日 午前十一時
精霊王城の会議室にて会談が行われている。参加するのは精霊聖王・オデロス、オーカ将軍、ハプ司祭、精霊の姫君・ジェフロ、アサク、イリヤ、そして人間界から連れてきた赤子だった。
アサクは片足で跪いて、精霊聖王・オデロスにエデンの村でのできことを報告し、その傍らにイリヤがゆりかごに眠っている赤子をみている。
アサク「ことは以上です。聖王様」
精霊聖王・オデロスがアサクに表を上げようといい、となりのオーカ将軍に見解を求める。すると、オーカ将軍の顔がすこし赤いのを気づき、叱るように言う。
オデロス「そなたたちまさか、昼間から酒を飲んだではあるまいな」
オーカ「そ、それはその、ハプ司祭が造った酒が良すぎて、目覚ましにちょうどいいからで……」
ハプ「オーカ、おぬし……せっかくよい酒を取っておいてやったのに」
聖王オデロスがお怒りの様子で少し咳払いをしたら、周りがしんとなってしまった。それから手を一振りして、ハプ司祭がすぐ注いておいた盃を聖王に渡す。一気に飲み干してまことにうまい!と言ってからまた真顔でアサクに続けようと合図をした。
ジェフロ(不機嫌)「父上までおふざけして!まだ公務が残っているのでは」
オデロス「大事ないよ、精霊界がいつものように平和でのんびりだ」
ジェフロ(手を腰にあてて、呆れる)「もう、少しは危機意識を持たないと!」
アサクが頭を掻いてから、片手を顔に覆いて呆れていう。
アサク(独り言みたいな)「この老いぼれたち、本当に『鏡返ノ核』のことを気にしているのか」
オーカ「我々精霊界はそもそも外界のことを干渉してはならん決まりだが、大賢者聖竜王様が、『逆時震盪』が精霊しか対抗できないからと天神界の神託だといい、聖王様にエデンの村のコアを処理するよう、おまえを指名してな」
アサク「またあの陰謀家の聖竜王?やつの言いなりにならなくだって」
オデロス「天神界のお達しだ、仕方ない」
アサク「くそ……」
このとき、ハプ司祭は赤子に近づき、よく観察する。
ハプ「ふむ、この人間の赤子、『逆時震盪』の影響を受けないとは、確かに不思議だ」
同時にイリアが赤子を包み込んでいる毛布を開けてみると、毛布に<ADAM(アダム)>が書いてあて、赤子の背中に、虹紋章のバースマークがみえた。それに驚いたか、聖王がすぐ近寄って赤子の背中を確認し、オーカ将軍も続いた。
オデロス(文字ごとはっきりと)「なんと……虹、聖者」
オーカ「ではこの赤子こそが新たな虹聖者か、名は……アダム」
ハプ「アサクがエデンの村へ出向くのも奴らの計画通りってわけか。一本取られたわい」
アサク「で、どうすればいいですか。この子ずっと俺にべったりで、起きて俺に抱っこされてないと気づくとすげー泣きわめくんですよ。いっとくけどベビーシスタはいやだからな」
オーカ「待った! アサク、前の二つのコアの出現場所、覚えてるか?」
アサク「一つは妖精界の『時間図書館』で、もう一つが人間界・フィル王国東南部の『フジルス砂漠』です。二箇所ともすでに『逆時震盪』が起きてしまったから、聖王様のご命令とおりに、まだ震盪が起きてないエデンの村へいきました。時間的にいけたはずだったけど、この子を助けたため結局封印が間に合いませんでしたが」
ハプ「人間界に出現した二つのコアとも、フィル王国の近くか、どうも匂うなぁ…」
オデロス「いかん! オーカ将軍、すぐ禁衛軍を集結し戦闘態勢に入りたまえ!」
聖王の指示で、オーカ将軍がすぐ会議室から飛び出し、警報を鳴らす。
アサク「どういうことですか??」
ジェフロ「早く赤子を守って」
イリアすぐまだ眠っているアダムを胸に抱きしめた。
ハプ「これは、とんだ企みだ! 『逆時震盪』を利用し、『時間図書館』で偽りの歴史を作り、『フジルス砂漠』にて過去に存在した『ミラージュレーク』を呼び戻した。そしてこの子はやつの手駒…震盪の影響をうけないとわかっててあそこに置いた。おぬしがこの子を連れて【折畳ノ廻廊】で精霊界に戻ることで、震盪の痕跡が残り、もともとコアが侵入不可能の精霊界に隙間が生じてしまったのだ」
まさにその時、急にとどろきのような音が響いて、精霊王城が地震でも起きたように揺らいだ。
ハプ「この子が起きて騒ぎだしたら見つかってしまう。わしが深い眠りにつくように術をかけとくよ。イリア、アダムは任せたぞ。アサクは早く敵襲に対応しろ!」
イリア「了解いたしました。ちゃんと守って見せます」
アサク「そこまで深刻ですか! すぐ向かいます! ゴーストカード、魔獅子、ついてこい!」
二人の従士を召喚して、三人はすぐ音がした場所へ急いだ。着いた時には精霊王城正殿の真上に時空の裂け目ぽっかり空いてしまい、すでに大量の魔物が湧き出している!手前にオーカ将軍が禁衛軍を率いて応戦してるところだった。
アサク「なんてことだ!」
アサクはすぐゴーストカードに【日輪ノ剣】に変身させ、魔獅子とともに戦いに加わった。聖王オデロスもジェフロを連れて正殿に到着。二人の周りには禁衛軍が守りを固めている。同時に、九尾妖狐が時空の裂け目から正殿へと降りってくる。
九尾妖狐「あらまあ…ふふ、美しきあたしをこんなにも大勢で出迎えてくれたのかい、うれしいねぇ、さあ、情熱的な歓声をあげなさい」
アサク「この変態野郎!」
その時、全域空間防御を担う精霊兵士より報告が届いた。
精霊兵士「報告! 聖王様、精霊聖地にて『鏡返ノ核』が出現!」
聖王オデロスがすぐ聖地を守るようにオーカ将軍に指示し、正殿の魔物が聖地に行けないようにと一部の禁衛軍兵士を残し、後をアサクに任せて、その場を立とうとしたが……
ジェフロ「わたくしは残ってアサクに協力するわ!」
オデロス「だめだ! すぐオーカ将軍に続いて聖地へ向かいたまえ」
聖王オデロスがオーカ将軍、ジェフロとイリアを率いて正殿後方にある廊下を通り、精霊聖地へ向かう。
正殿に現れた魔物たちがアサクと近衛軍に着々と退治されていくが、なぜか九尾妖狐がまるで見世物を見ているようにびくとも動かないまま、やがて魔物が彼だけとなった。
九尾妖狐(高笑いして)「スポットライトはあたしだけを照らすものよ。どう? スーパースターみたく輝いているでしょ」
そう言って突然と手を上げ、強い衝撃波を放つ。
精霊禁衛軍を守ろうと、アサクはすぐみなを庇うように最前列に出て、全身から聖光を放ち、【獅幻神裝】を纏って九尾妖狐の攻撃を受け流した。
左従者のゴーストカードが変身した【日輪ノ剣】を手にかまい、右従者の魔獅子が変身した【獅幻神裝】を纏った姿こそ、アサクの完全なる武装なのだ。
アサク(禁衛軍に向かって)「おんたたちはもう聖地に向かってくれ、ここは俺に任せろ!」
禁衛軍兵士「了解しました!」
返事した禁衛軍の兵士たちはすぐさま聖地へと駆け付ける。
九尾妖狐「あたしは、鏡界から降臨した陰魔六将軍、名は九尾妖狐。親しくして~“九ちゃん”って呼んでもいいのよ。さすが天神界の力を得た者ね、アサク。神と精霊の融合体か、本~当、反則よね」
アサク「なんなんだおんたは! 九ちゃんとか、誰が呼ぶか! あいにくこっちは遊んでる暇ないんだな、今片付けてやる!」
九尾妖狐「さて、君ごときで、このあたしに勝てるかしら?うふふ……」
笑い声を発したと思えば、もうアサクの目の前に瞬間移動して、攻撃をかまってきた!
九尾妖狐の攻撃が思ったよりも重く、全身武装した状態のアサクでも、【日輪ノ剣】で攻撃を受け流しながら陣魔法で魔法攻撃を吸収して反撃をするが、どうも苦戦に陥ってしまう。幸い、【獅幻神裝】の防御でなんとか保つことができた。
素早く動きながら攻撃してくる九尾妖狐は余裕ありげに笑いかけてくる。
九尾妖狐「はははっ、神と融合したせいで、もともと持ってた精霊の力を失って、元素魔法が使えなくなったのね。それで受けたものを吸収して反撃に使うしかなくなったわけか。なるほど、これはこれは、神様って意地悪いねー、はははは」
アサク「なんでそこまで俺に詳しいんだよ!?」
九尾妖狐「それは~愛してるから♥だよ(ウィンク)」
アサク「気持ち悪っ!」
九本の尾が一斉に伸び、九尾妖狐がセクターなポーズを取ってこう言った。
九尾妖狐「さあ、あたしのすべての愛を乗せる、最強の一撃をうけてごらんなさい♥」
先と比べものにならないほどの莫大な魔力が九尾妖狐の体に集中していると感じたアサクは、この一撃で勝負がきまるとわかった。
アサク(テレパシーでゴーストカードと魔獅子に)「あれを使うしかない」
ゴーストカード(テレパシー)「マスター、本当に使いますか? まだ完全に使いこなせてないのに、発動した後力が抜けて、いつ回復できるか分からないのですよ!」
魔獅子(テレパシー)「でも確かにそうするしかなさそうです。自分ももう攻撃を受けきれません。まずはやつ倒すことを考えましょう。そのあとは自分たちがマスターを守ります」
心で会話をかわす僅かな間に、九尾妖狐はもう力を整えて、技をぶつけてくる!
九尾妖狐「九重狐撃・滅骸破!!」
まさに同時に、アサクは宙返りして背中から天使と精霊の翼が生えてきて、【七属性ノ鍵】がアサクを中心に飛び回り聖光を放ちながら、七本の巨剣となる。
アサク「俺にはまだ神の力がある! 七鍵衝殺陣!!」
互いの大技が宙にぶつけ合い、九尾妖狐が避けきれずに重傷を負い、間一髪で時空の裂け目を通って鏡界へ逃げ帰って、あまりの強力で精霊王城もほとんど壊滅してしまった。
ゴーストカードと魔獅子が変身を解いてもとの姿に戻り、アサクも技の影響で全身の力が抜けてしまって、意識はちゃんとしてるが、もうまったく動けない状態だ。魔獅子はアサクを背負ってゴーストカードとともに精霊聖地へ向かう。
これで、数万年以来一度も侵入を許したことがないと誇る精霊界も、正式に破られてしまったのだ。
精霊聖地に着くとそこに『鏡返ノ核』が中央の祭壇に現れていて、聖王オデロスが部下たちを率いて湧き出している魔物たちと戦っている姿がみえたが、すでに力が残されていないアサクには何もできない。
アサク「どうしてハプ司祭が、早くコアを封印しないんだ?」
第三章:永凍絶界
神説年暦36722年 8月13日 火曜日 午後二時
精霊界で最も重要な場所『精霊聖地』に、『鏡返ノ核』が出現、ハプ司祭がコアの近くにいながら、魔物ばかりかまっていてコアを封印しようとしない様子。
魔獅子がアサクをハプ司祭のとなりまで連れいった。
アサク(虚弱)「どうしてすぐコアを封印しないんですか。【聖獄ノ籠水晶】をくれたのはあなたなのに……」
ハプ司祭「【聖獄ノ籠水晶】は聖竜王が天神界から持ってきたもの、おぬししか使えないといいおった。だから、コアを封印する任務をおぬしに与えたのだよ」
アサク(虚弱)「そんな……俺はもう、【聖獄ノ籠水晶】を発動する力も残されてない。まさか『逆時震盪』で精霊聖地が破壊されるのをただ見るしかできないというんですか」
ハプ司祭「とにかく休んで、少しでも回復に努めるのじゃ」
この時、イリアが泣きながらこちらに走ってきた。
イリア「うう……黒マントの男にアダムを奪い去らわれてしまいました。イリアでは全然太刀打ちできなかったの。ごめんなさい、イリアのせいだわ、どうしよう……」
アサク「あなたは悪くねえよ、もう泣くな」
ハプ司祭「精霊界に来てアダムを奪うことも、やつの計画の一環なんじゃろうな」
オーカ将軍が精霊禁衛軍を率いて攻撃の陣を組んでコア周辺にいる魔物たちに反撃を繰り返し、聖王オデロスがコアの真上に雷撃の術をかけてコアを打ち砕こうとするが、まったくの徒労だった。
この時に、強い黒き光が聖地の高台から放て時空の裂け目を作り、その中から黒竜に乗っている騎士の姿が現れた。彼は響き渡る声でいう。
フィリップス「俺様は陰魔二将軍、フィリップスだ。鏡界を代表し、正式に精霊界に宣戦布告を告げる!」
このフィリップスと名乗った黒竜を乗る騎士から放たれる特殊な魔力に、ただならぬ恐怖を感じたかのように、周りの魔物たちがみな身動きがとれなくなっている。
アサク・オーカ「これは! 失踪した風族の精霊・サルの霊力!?」
アサク「どうしてあいつから精霊の力を感じるんだ!」
オーカ「いや、正しくは風属性の精霊の力と闇属性の魔力が混ざり合っている強大の力だ! この精霊界では相手になれる人いないかもしれん」
オデロス「……」
フィリップス将軍が手を振ると、黒竜から強い竜巻が襲ってくる。精霊禁衛軍軍団の大半が竜巻の勢いに耐えきれず吹き飛ばされ、何人か苦労して防御術を立ち上げて対抗しようにもあまり効果が見られない中、なぜかジェフロにだけまったく影響がなく、すこしもダメージを受けていない。その様子をみて、聖王オデロスはすぐみなに指示をだす。
オデロス「ジェフロ姫の後ろに隠れろ!」
精霊軍団が群れとなってジェフロの後ろにくっついて、ジェフロが移動すると軍団も続いてくという、なんとまあ奇妙な絵面になった。
ジェフロ「どうして私の後ろに隠れるのよ。私はあのフィリップス将軍というやからを懲らしめにいきたいの!」
そういって奔ろうとするけど、姫が動いてしまうとみな吹き飛ばされるからと、周りに止められる。
ジェフロにだけ起きるこの現象に気づき、フィリップス将軍が急に激動した様子でジェフロに駆けてくる。みながジェフロをかばおうとする時に、まさかの攻撃ではなく、フィリップス将軍がジェフロを抱き込んで強引にキスした。その場にいる全員が目の前に起きたことに驚いていると、軍団に襲い掛かる竜巻もフィリップス将軍のこの行動でやんだのだ。
ジェフロが我に返って顔を真っ赤にし、怒りと恥ずかしさが混ざり合い、フィリップス将軍を突き出して、ぱっとビンタを食らわせた。
ジェフロ「この……不届き者! この私に無理やりキ、キスするなど! 何様のつもり!」
赤くなる頬に手を当て、ガッカリした様子でフィリップス将軍はいう。
フィリップス「君は…忘れたのか……」
そしてすぐ近寄った黒竜に乗り、高く飛んで離れた。
遠くに離れていくフィリップスの後ろ姿を見て、ジェフロはなぜか、胸が悶々と締め付けられる気がした。指で先強引に奪われた唇を撫でてみると、涙が勝手に流れてくる。
ジェフロ(心の声)「この悲しい感情はいったい……?」
フィリップス将軍が精霊軍団の表に戻り、大声で言い放つ
フィリップス「精霊界の最強のものを出してこい!」
すると、オーカ将軍が陣から高く上へ跳んで、マウントであるグリフォンを召喚して背中に乗り、フィリップス将軍と対峙する形になる。
オーカ「俺はオーカ将軍じゃ。精霊界最強の守護者が相手してやる」
フィリップス「ほう、この時をずっと待っていたぞ。やっとオーカ将軍とやり合う機会がきたか」
オーカ「一つ、疑問に答えてもらおうか」
フィリップス「ふんっ、二つとも答えてやるよ。一つ、そう、俺様そこが、かつて失踪した風族の精霊・サル。二つは……お前らが知ってるサル、もともと二人いたのだ。一人が精霊界に、一人が鏡界にいる。だが、俺様の本当の名は、フィリップスだ」
すでに弱っているアサクをちらっと目をやり、フィリップスは続いてこういった。
フィリップス「そのアサクと同じ、”ダブルフェース”をもっている」
オーカ「なんだと!」
アサク(心)「”ダブルフェース”……ってなんだ?」
この時、ゴーストカードがフィリップス将軍が身につける剣をみて、慌ててアサクに話しかける。
ゴーストカード「大変です。あの人、【月輪ノ剣】を持っています!」
アサク「そんな、まさか」
ゴーストカード「僕のセンサに間違いはありません。なぜなら僕と【月輪ノ剣】は、セットのゴーストカードだからです!でも、なぜあの人が【月輪ノ剣】を持っているんでしょうか」
フィリップス「国としての挨拶はここまでにしょう。そろそろ戦いを始めようか、まずは……」
フィリップス将軍が指を鳴らすと、精霊聖地に現れたコアが急に色が変わって、『逆時震盪』を引き起こす状態になった!アサクを含めて精霊族の全員が、自分の目を疑わずにいられない!
アサク「あいつ! 『逆時震盪』を加速させやがった!!! 早くコアを封印しなきゃ!」
でも依然と体力がもどらないままのアサクは、魔獅子の背中から降りる気力もない。
アサク(魔獅子に)「コアに触れるように、近づけてくれ」
魔獅子は指示に従ってコアのすぐそばまで近づけて、ゴーストカードがアサクの右手を支えて、コアに触れた。触れた瞬間に、コアの色の変化が明らかに遅くなったものの、アサクが冷や汗をかいてひどく苦しい表情をしている。
ハプ「よせ、アサク。それでは封印は無理じゃ、ただの時間稼ぎにしかならんし、そのままだとおぬしが力尽きでしんじまう!」
アサク「ただの時間稼ぎでもいい、もう、今の俺にはこれしか…」
するとイリアが自分の手をアサクの手に重ねた。
イリア「イリアも、お兄さんと一緒に精霊界を守ります!」
アサク(頭を少し下に向いて)「ああ」
オーカ将軍がグリフォンに乗ってフィリップス将軍へ突撃をかける。二つの世界での最強戦力を持つ男たちの対決は激しく繰り広げられて、交わる攻撃の震動波で近くにいる魔物も、一騎打ちを見守る精霊軍団も痺れさせられて、ただその場に動けずにいた。
長い戦いとともに時間が過ぎ去り、アサクもそろそろ限界を迎えてしまう。
フィリップス(オデロスに向かって)「精霊聖王よ、一つ教えてやろうか。この【鏡返ノ核】に設定されたタイムリープの時間は、ちょうど1000精霊年前だよ(人間界約41年)! そう、その精霊八大族の時代に!」
フィリップス将軍の言葉で、精霊族のみなが一気に顔が青ざめた。
オーカ「好き勝手にはさせん。混沌極まりないの1000精霊年前などに戻ってしまったら、今の世界線の神説大陸の全面的壊滅を招いてしまう!」
オーカ将軍が奥手の” 圓気裂衝砲”を発動しようと同時に、まさかのフィリップス将軍も、同じ大技をかけて決着をつけようとした。
オーカ「ほう、おまえは確か、俺のまなでしの精霊界のサルだな!」
が、それを聞いたフィリップス将軍はただ微笑んで、答えようとしなかった。
二つの技がぶつけ合うと同時に、アサクとイリアの力ももうコアを抑えることができなくなり、コアが鮮やかな赤色を放ち、『逆時震盪』はまさに引き起こされようとしていた時に。
オデロス「精霊界の王として、精霊界をいまここに壊滅させるわけにはいかん。すべての空族精霊よ、集結し伝送陣を発動せよ!」
空族精霊たちがすぐさま伝送魔法を発動する。
オデロス(オーカ将軍とハプ司祭に向かって)「精霊界を守りたまえ!」
オーカ将軍とハプ司祭はすぐ聖王オデロスのもとに駆け付けた。
ハプ(アサクに向かって)「いけ! できるだけ遠くへ逃げるのじゃ!」
聖王オデロスが手のひらに特殊のトーテムをかけると、トーテムが一匹の鷹となり、地中に向かって飛び潜った。そしてオーカ将軍とハプ司祭に頷きで合図をして……精霊界最大な封印術を発動する。
オデロス・オーカ・ハプ「永凍絕界!!」
『逆時震盪』が始まる頃に、空族の伝送魔法も発動した。
フィリップス「くそ! 精霊界ごと時間を凍結しようだと! 俺様はこんなところに閉じ込められたりはしない!」
そういってすぐ時空の裂け目を開けたが、ジェフロを一目みてから裂け目に入って姿を消した。
『逆時震盪』は永凍絕界によって止められてが、同時に伝送陣も停止してしまい、すべての精霊を伝送することはなく、アサクは幸運にも、伝送で逃げることができた。その瞬間に、ハプ司祭の声が聞こえた。
ハプ「精霊界を救うのには、精霊女王アランダを見つけるしかない。頼んだぞ、アサク」
アサクは涙が止まらないまま、伝送通路に入り、そのまま気絶した。
この戦いの末、精霊界の時間は止まったままになり、誰も入ることができず、そして、誰も出られなくなってしまったのだ。
第四章:人魚之淚
神説年暦36722年 8月19日 月曜日 午前十時
目覚めたアサクが初めに聞こえたのが、ゴーストカード、魔獅子とイリアの三人の声だった。
ゴーストカード、魔獅子、イリア「よかった!」
ゴーストカード「マスター! やっとお目覚めですか!」
イリア「もうーお兄さん! 二度と目覚めないかと心配したんだから!」
アサク「俺は……大丈夫だ。ここどこだ?」
ゴーストカード「僕たちは幻獣界の人魚国に伝送されたのです。女王様がこのお部屋を手配してくださいました!まさか一週間も眠り続けるとはな」
周りを見渡してみたら、さんさんと輝く日の光が水を通して照らしてるとても暖かい部屋だが、どう見ても女性の部屋だ。
ゴーストカード「人魚国には女性しかいませんからね」
アサク「ええ……」
アサクの身の周りにたくさんの花が飾っている。
アサク「で、この花はいったい……」
ゴーストカード(肩を軽くすくめてニヤっと)「マスターのファンたちから送られてきたものです。もう人魚国丸ごと虜にしちゃってるくらい大騒ぎですよ。お見舞いといって花を何度も持ってくる子もいます。なにせ女王様が自ら『美しき眠りの精霊王子』という異名をつけちゃうくらいですからね……」
魔獅子が顔をそらして笑いをこらえている。
そのとき、外から雑踏とした人の声がしてきた。ゴーストカードが、もう起きたってバレたら大変な目に合うから、早く寝たふりをするようにとアサクに合図し、ぬいぐるみのふりをした。アサクが横になって寝たふりをすると、やはり十何人の人魚の女の子がプレゼントと花をもって部屋に入ろうとする。魔獅子がすぐ姿をけして入口を塞ごうとしたが意味がなく、女の子たちが部屋に駆け込んできて、祝福を込めてアサクの頬にキスして、わいわいとはしゃいでからやっと部屋をでた。
皆出た後、アサクは起き上がり、キスされた頬を少し撫で顔を赤くして、満足しそうに笑った。それをみて、隣のイリアは不機嫌そうに口を尖らせた。
ゴーストカード(アサクの頭に一発殴って)「しっかりしなさい!」
アサク「俺見世物じゃねえし。早くここを出て情報を探そう」
イリア「お兄さん今や『美しき眠りの精霊王子』ですから、そのまま外にでると騒ぎになっちゃいます。イリアが変装して差し上げますわ」
人魚国は結界によっと海の中に沈んでいる王国で、結界の中なら、地上と同じように呼吸ができるところ。
この日、大通りに変な歩き方をする一人の人魚(?)の女性(?)がいた。そう、それはまさに、髪型を変えて化粧もし、方にピエロのぬいぐるみを乗せたメイド服姿のアサクだ。その隣に人魚に成りすましたイリアと、術で姿を消した魔獅子。
アサク「なんで俺が女装しなくちゃならねえんだよ! 不格好だし、下スースーするし!」
イリア(笑いながら)「パンツを履かないからでしょう」
アサク「女のパンツなんてぜってー嫌だ!」
ゴーストカード「こうでもしないと、街中で正体ばれたら、何千何万の人魚の女の子が寄せてきますよ」
魔獅子「さすがにそんな大勢は止められませんな」
アサク「ここ一体どうなってんだよ。空気もすごく濁ってる気するし、風もない、なんか変な感じ」
ゴーストカード「人魚国は昔からとても排外的で、特に同じ幻獣界の百獣国とは敵対関係です。僕も魔獅子も百獣国の民なので、気付かれないようにしないといけません。人魚国は精霊界との関係がとても良いと聞きます。それで、こちらに伝送されたかもしれません」
二人が会話している間に、イリアがすれ違った天使魚と交流し始める。
アサク「魚と話してんの?」
イリア「イリアはすべての生き物と意識疎通ができるのです。かわいい子をみたんら友達になりたくなるんですよ。」
アサク「俺はゴーストカードと魔獅子としか話せねえから」
この時、向かいに何人のメイドを連れて歩く貴婦人らしきの女性がアサクをしげしげと観察する。今にもバレたかとはらはらする二人だが……貴婦人はイリアを眼中にない様子でアサクに話しかける。
貴婦人「あら、ちょっと胸が足りないけど、なかなかじゃないの~あなた、名は何という?どちらの使いなの?」
アサク「お、おそれいります。あ、アクリアといいます。えっと、マダムメールに仕えております」
貴婦人「なんと! あなたのような美人が、あのメールに仕えてるなんて、もったいないわ!」
貴婦人すぐ懐からパールを十個取り出してアサクに渡してこういう。
貴婦人「はい、持って、これは前金よ。すぐあのばばあのところを出て。明日からヴィタリス公爵邸に来なさい」
勝手に言い終わると、パールを手にしてポカンとした顔のアサクたちをお構いなしに、メイドたちを連れてその場を去っていった。
アサク「おっぱい足りないとか……」
イリア「アクリアって……ははははは~女装でもお気に入りされちゃって、すごいですわお兄さん!しかも、デタラメに言ったのに、まさか本当にマダムメールがいるなんて、はははは」
となりにいる魔獅子がもう笑いすぎて腰がぬけそうだ。
アサク「笑う場合か! 大事な任務があるんだぞ! コアがどうなってるわかんないし、ハプ司祭が精霊女王を見つけて精霊界を救えと俺に言ったんだ。メイドごっこしてられるかつうの!」
ちょうどおなかが鳴ったから、近くのレストランが見えて、とりあえず腹ごしらえをしようと店に入った。イリアが天使魚とバイバイして、アサクと一緒に一番目立たない隅っこの席に座ると、メニューに目を通す。
アサク(メシューを見て)「ワンセットでパール一つ!?」
ゴーストカード(すぐアサクの口をふさぐ)「しー、大声出さないでください。嫌なら女王様が用意してくださった部屋にお戻りになれば?なんでも使い放題ですよ」
アサク(プルプルと)「ぜってーやだ。(ちょっと恥ずかしく)まあ女の子にモテるのは悪い気しないけど…」
イリア(一発殴って)「お兄さんのスケベ!」
店員「お決まりですか」
アサク「セットを四つくれ」
店員「お二人でそんなに? 本当にたべられますか?」
アサク「大丈夫。食べられるよ」
店員「かしこまりました。ではパール四つ、いただきました。すぐご用意いたしますね」
食事が運ばれたら、アサクは飲み込むようにパクパクと食べて、ゴーストカードと魔獅子はテーブルの一角にコッソリと食べた。
アサク「俺たちはやく人魚国から出るべきだと思う。百獣国へ行って俺の友人のブラッド国王に助けをもとめよう」
魔獅子「そうはいっても、人魚国では【折畳ノ廻廊】の使用を禁止してるから伝送は無理です。地上の百獣国へ行くのには連結通路を通らなければならないが、もちろん警備がつけてるから、人魚女王の許しがないと通してもらえないんじゃ…」
イリア「それに、何の挨拶もなしに消えるなんて、失礼極まりないことですわ。ここはやはり一度女王様にお礼を申し上げに謁見をした方がいいとイリアは思います。」
ゴーストカード「人魚国と精霊界とは交流がありますが、わざわざ『美しき眠りの精霊王子』なんてマスターの存在を宣伝することに、なにか良からぬ意図を感じます。」
アサク「でもなぁ、戻らないとすると、金を稼がなきゃだな……」
イリア(笑いながら)「お兄さんにメイドになって、イリアたちを養っていただくしかほかありませんね」
ゴーストカード・魔獅子「そうですね」
アサク「なんで俺ばっかりー」
楽しい会話の中で、誰もすでに人魚兵士に囲まれたことに気づかなかった。
人魚兵士「精霊界からきた高貴なる友よ、ご相談があるので王城へと、女王陛下直々のお誘いでございます。」
アサク「あ、見つかっちゃったか」
人魚国王城へ移動する途中でも、熱心のファンたちが道の両サイドを囲んでアサクに“精霊王子さま、愛してる”なんて歓声を上げていた。
夜の人魚国王城にて、案内された正殿では、人魚女王が王座に座っていて、アサクたちの到着を待っていた。二人は一礼する。
アサク「女王陛下、精霊界のアサクと申します。貴国に来たのはその、事故によることでして、どうかお許しください」
ミカナ「わたくしが人魚国女王・ミカナと申す。付き人の二人も、姿を現すがよい」
ゴーストカードと魔獅子は一斉に術を解いて現し、女王に跪いて挨拶を。
ゴーストカード・魔獅子「ご無礼をお許しください」
ミカナ「よい。状況はわかっている。皆のもの、もう去るがよい」
そして正殿には、アサクたちと女王だけが残っている。
ミカナ「わたくしに着いてまいれ」
女王がアサクたちを宮殿にあるガーデンの一角へ連れてきた。
ミカナ「静かに見ておれ、そして何があっても、アサク、わたくしに合わせておくれ」
どういう意味かさっぱりだが、アサクは了承した。
この時、ガーデンに若い女性が歩き出て、上から真っ白な髪をした精霊らしき男が、女性の前に舞い降りてきた。二人は愛情深くに見つめ合い、男が貝殻とクリスタルで飾った花束を取り出して、女性に話しかける。
白髪の男「人魚姫・ユリア、どうか、俺と結婚してくれ」
ユリア(首を振りながら)「フルフィ様、ごめんなさい。婚約はお母さまにお許しを請わなければ、お約束できませんの」
白髪の男(手を引き)「ならば駆け落ちだ!」
ユリア(もう一度首を強くふる)「私もあなた様をお慕い申し上げておりますが、そのようなことは許されませんわ」
フルフィが強引にユリアを連れて行こうとすると、ミカナ女王が影から出た。
ミカナ「この無礼者、娘からその手を離し、今すぐ立ち去れ!」
フルフィ「女王だからって俺が怖気づくとでも思うのか。本気で暴れたら、この人魚国では俺に勝てるやつなんかいないぞ」
ミカナ「さぞ傲慢とみえる。まあ確かに、わが人魚国は、強いおのこを国王にし国を守ってもらう必要があるが」
フルフィ「はは、それって俺たちの婚約を認めるってことだろう?」
ミカナ「国王は実力と美しさを備える随一のおのこでしかなれぬ」
フルフィ「それはそれは、お褒めに預かり光栄だ、女王陛下」
ミカナ「否、その資格があるのは、そなただけではない。最近王国にいらっしゃった『美しき眠りの精霊王子』が、そなたより容貌が優れて、国民に愛されているのだ」
そう言って、アサクが隠れている物陰に指をさした。
アサクは仕方なく出てきて、どうにもかたくるしい感じで言う。
アサク「俺こそ、真の国王になれる精霊王子だ。貴様、俺をみてさっさと恥じ入って消えるといい」
フルフィ「ならばやってみようじゃないか、誰が勝つか定かではないぞ。な?精霊族のアサク」
アサク「! なんで俺を知ってる??」
フルフィ「……」
ミカナ(一度手を叩く)「もうよい、口喧嘩はおよし。女王たるもの、公正公平でなくてはな。ならば、正式に試合を行うことにしよう。勝つほうが、ユリアの夫となり国王になる。」
アサク「なんだって!?」
フルフィ「のった! いつだ?」
ミカナ「三日後、人魚国のコロシアムにて。」
ユリア「お母さま! なぜそのような勝手な約束を……あんまりです!」
悲しむユリアは泣きながら走っていった。
フルフィ「首洗って待ってろ」
そして飛び立って夜の空に消えた。
アサク・ゴーストカード・魔獅子「はめられた……」
女王は静かに頷いて微笑みをみせた。
正殿に戻ると、アサクがトンと床に座り、とても不機嫌な様子だ。
ミカナ「すまなかった。がしかし、それも無礼を承知で仕方なくしたことなのだ。なにせ、人魚国にはもはや幻獣であるあやつを止めるのに十分な力を持たぬからのお」
アサク「幻獣?フルフィのことですか、女王陛下」
ミカナ「いかにも。あやつが幻獣界百獣国『幻化部族』狐の一族のもの。人魚の民は決して百獣国のものと結ばれてはならぬのだ」
魔獅子「今の幻獣界では三大国が均衡の敵対状態にあります。ゴーストカードと自分も、囚われてないだけでも幸いってくらいです」
アサク「でも、人魚国って軍備がそこまで弱まってますか。それに二人が愛し合ってるのなら、別に硬く掟を守らなくても」
女王が立ち上がり、王笏で王座の真上を指すと、天井が突然崩れて、その奥にあるのは……
アサク「鏡返ノ核!? しかももう真っ赤で……すでに震盪が発生した!」
すぐ【不帰ノ羅針盤】を取り出して、巻き戻された時間を測るが、なんの変化も見られない!つまり、人魚国が『逆時震盪』の影響を受けなかったことになるが、ありえない。一体どういうことだろうと、アサクは驚きを隠せない。
その時、大量の魔物がコアから湧き出して、みなすぐ戦闘態勢に入る。その中の一匹が女王に襲い掛かる。
イリア「陛下! 危ない!」
驚くことに、魔物が女王の体を触れることなく、そのまま通ったのだ。
ミカナ「心配ない。精霊アサクよ、この鏡返ノ核を封印してもらえぬか」
アサク「わかりました!」
仲間の援護でコアに近づけて、【聖獄ノ籠】で封印を成功すると、呪縛から解き放ったように、今まで人魚国を覆う濁った空気が一気に晴れた。
再び王座に座り、女王はことの真相を語り始める。
ミカナ「コアが出現したのが半年前のこと。我が人魚国軍隊の総出でも、魔物の軍勢には太刀打ちできなかった。そして、『逆時震盪』が起きたのだ」
アサク「ではなぜ時間の変化が測れなかったのですか?」
ミカナ「それは巻き戻された時間の長さが130年がゆえ。130年前、人魚国はこの深い海の底ではなく、ちょうどここから真上の島にあった。海に沈んだのが30年ほど前のこと」
ゴーストカード「てことは、震盪のせいで130年前の人魚国が今再びそこで現れたってことですか」
ミカナ「そうじゃ」
アサク「じゃ震盪の後…ここは……」
ミカナ「消し去られてしまったよ、なにもかも。今そなたたちが見るすべてが思念体だ。それでも、我々は今もこのように、ここにおる。」
左耳に飾ってる雫の形をした耳飾りを取り、女王は続けた。
ミカナ「これは人魚国の国宝・【人魚ノ涙】というもの。『逆時震盪』の際に引き起こされた全国民の恐怖と悲しみが、【人魚ノ涙】の力を発動させた。」
アサク(悲しむ)「今目の前の女王陛下も、ここにきてから見た人魚たちもみな……【人魚ノ涙】の力によって保存された魂ですね……」
イリアがもうこえずに泣き出している。
ミカナ「心優しき精霊、アサクよ。わたくしは、ユリアとフルフィの愛を、婚約を認めぬわけではない、できぬのだ。そうさせてしまったら、ユリアも民もみな、国が滅んだこと、自分がもうこの世にいないことを思い出してしまう。どうかこの秘密を、守っておくれ」
二人は涙を流しながら頷いた。
ミカナ「芝居でもよい。フルフィを破り、ユリアと結婚し新たなる国王になって、民に希望を与えてやっておくれ。そしたら【人魚ノ涙】も役目を遂げ、人魚国は幸せ満ちる中で消える。これがわたくしの最後の願い、手伝ってくれるかい」
アサクは黙ったまま頷き、イリアが王城に響き渡るくらい大泣きをした……
三日後。
人魚国のコロシアムは人で賑わっている。ほぼ全国の人がここに集まって、人魚の姫君の夫を決める試合を楽しみに待っているのだ。
用意を済ましたアサクはゆっくりと、会場へ続く廊下を通り、コロシアムに入る。
第五章:幸せの微笑み
神説年暦36722年 8月22日 木曜日 午前十時
ほぼ全国の人が集まったコロシアムでは、熱烈な歓声が上がっている。今日の試合で、ユリア姫の夫となる、新たなる国王が決まるのだ。みなの期待の中で、試合が始まった。
アサクとフルフィはリングの中央に立っている。すでに対峙する二人だが、表情から気持ちの差がうかがえる。今にも暴れ出しそうに興奮しているフルフィに比べて、アサクはどこか悲しみを漂う感じだ。アサクが女王に一目をやると、女王が軽く頷いた。その左には泣き止まないユリア姫に、右がイリアが座っている。
法螺貝を吹き鳴らす音がコロシアムに響き渡り、試合開始!
フルフィが手にエネルギーで形成された槍で襲い掛かり、アサクはゴーストカードと魔獅子の力で武装状態で構える。【日輪ノ剣】と【光ノ槍】がぶつかり合い、火花を放つ。一進一退の攻防戦はどちらも譲らない気合だ。この時、フルフィが“光剣魔法”で攻め寄せてきて、驚いたアサクはすぐ左手のシールドで防御した。
アサク「! 見間違いじゃねえよな、あれは俺の光剣魔法だよね?」
魔獅子「はい、確かに、光剣魔法です」
フルフィ「あれ、おかしいな。アサク、お前魔法が得意じゃなかったっけ?なんで剣ばっかり使うんだ?魔法はどうした?」
アサク「う……」
ゴーストカード「マスター! このフルフィ、なぜか懐かしい気がします。きっと僕たちが知ってるものです。」
フルフィ「面白くなってきたな。んじゃ、遠慮なくいくぜ!」
手のひらからどんどん光剣魔法を打ち、同時にアサクに向かって突進して【光ノ槍】を突き刺す!
アサクは右手に持つ【日輪ノ剣】で【光ノ槍】を受け止め、左手に正三星陣魔法を自分に向かってきた光剣を吸収しようとしたが、三発までしか容量がなく、やはり何発はくらってしまった。そして体を捻り三星陣魔法“極光聖破”を出した!この攻撃を予想できなかったフルフィは間一髪でこの攻撃を避けたが、余裕を与えずに続いて【日輪ノ剣】を振って出された“陽輝閃撃”の挟み撃ちについに負傷、慌ててアサクとの距離を引き離した。
フルフィ「やるじゃないか、でも光属性の魔法攻撃は、同じ属性の俺には効果が出ないぞ。吸収での反撃だけじゃ、俺を倒せない!」
そういって、真っ白な長い髪を持つ精霊の少年の姿が歪み、巨大な白いキツネと変身した!そして周りに同じく白いコギツネが何匹も一緒に現れた。
アサク「うっ、俺キツネ苦手なんだけど……」
コロシアムに悲鳴があちこちから聞こえてくる。人魚国の人たちが逃げ回り、愛する人が異形のものに変貌したのを目の当たりにしたユリアは恐怖で戸惑っていると、これそこがフルフィの真の姿だと女王に告げられ、騙されたと思わず涙がこぼれる。
巨大な体と尾を駆使して攻撃してくるフルフィ。魔法による攻めも止まらず “星雲貫通銃”を出した時、アサクはゴーストカードと魔獅子を離して、両手同時に正三星と逆三星陣魔法を発動し、フルフィが放つすべての光の矢を吸収した。
空中に高く飛んで、両手の手のひらを合わせて、左には正三星の陣、右には逆三星の陣、天地印結!両手の陣魔法が一つになり、光の六星陣魔法を放つ!!
アサク「霸・極光殺陣!!」
全方位からの光剣がフルフィに襲い掛かった。同じ属性だと効果が弱まるが、無数の剣陣でフルフィがバランスを崩したそのすきに――
アサク「こい!【日輪ノ剣】!」
ゴーストカードが変身した【日輪ノ剣】を右手に握って、フルフィの頭の上に飛び乗り、剣のさきを脳天に打ち込みとする時、魔獅子が突然アサクを止めた。
アサク「魔獅子?」
ゴーストカードも変身を解けてアサクにやめるように願った。
アサク「なんで止めるんだ?」
ゴーストカード「フルフィが誰なのか、まだわからないのですか、マスター」
その時、力尽きたフルフィが倒れて、本当の姿――一匹の小さな白いキツネに戻った。
イリア「かわいいですわ!」
ユリア「その姿なら、いいかも……」
女王の睨みで二人はすぐ口をつむいだ。
フルフィ(アサクに跪いて)「強きものに従いしもべとなりて、われここに契約を結ぶことを誓う」
そしてフルフィの体が無数の光の粒子になり、アサクの手のひらに集中すると、ゆっくりと槍の形になった。
アサク「これは…【光ノ槍】だ! 俺が小さな頃に失くしたあの【光ノ槍】だ!」
【光ノ槍】を高く掲げて勝利のポーズをすると、コロシアムに喝采が沸いた。
ミカナ「これにて、アサクを我が国の新たなる国王、わが娘・ユリアの夫となる。さあ、みなのもの、祝言の用意じゃ」
夜、用意された部屋で休むアサクたち。
アサク「あの時、精霊界の『嘯きの谷』から人魚国に流されてたんだ。で、震盪の影響で【光ノ槍】の封印が解かれて幻獣の姿を取り戻したあなたは、ユリア姫に一目惚れして、精霊に成りすまし恋人になった。」
フルフィが黙って頷く。
イリア「だからユリア姫を連れだして、最後くらい幸せになってほしいと思ったのですね。」
フルフィ「……(泣き出す)」
アサクがフルフィの手を取って言う。
アサク「あした、一緒に人魚国を幸せにしよう」
アサクの言葉を聞いて、フルフィは我慢できずに大きく泣き出した。
イリア(フルフィを抱きあげる)「泣かないで、よしよし、フルフィ、イリアとお友達になりましょう」
翌日、盛大な婚礼が行われた。華やかなヴァージンロードを歩くアサクとユリア。傍らにいるイリアの笑顔が、なぜか少し引きつっていた。
女王自らアサクに栄光ノ指輪を付けて、新しい国王の誕生を告げる時、人々は楽しい歓声を上げながら、満面の笑みでありがとうと言い、一人また一人、ゆっくりと消えた。女王がアサクの手を、ユリアがフルフィの手を握りしめ、微笑んで感激を伝えると、耳に飾っている【人魚ノ涙】がひび割れ、二人もゆっくりと姿が消えてゆく。完全に消える前に、女王がアサクにこう言った。
ミカナ「130年前のあの人魚島へ行くがよい。王座に隠してある【人魚ノ涙】を探したまえ。それは幻獣界三大神器の一つ、必ず探し出し、わたくしに届けておくれ」
アサク「届けるって、どうやって??」
女王に聞こうにももう完全に消えて、人魚国にはもう生気が少しも感じなくなって、結界が消滅するとともに、海水が入ってきた。
アサク「ヤバい! 城が水没しちまう! とりあえず地上に逃げよう!」
ゴーストカード「結界が消えたから【折畳ノ廻廊】もう使えるはずです!」
イリアがすぐ【折畳ノ廻廊】を使い、みなを伝送した。
神説年暦36722年 8月24日 土曜日 午後三時
震盪によって再び出現した130年前の人魚島に到着したアサクたち。コアがもう封印されたので、大して強い魔物がいないし、雑魚を片付けていくと、王座の下に【人魚ノ涙】を無事見つけることができた。
アサクは【人魚ノ涙】をペンダントにして、フルフィにつけた。彼はペンダントを握りしめて涙をこらえながら誓う。
フルフィ「……今度こそ、必ずユリアを守って見せるよ」
指に付けられてる栄光ノ指輪をみて、アサクが呟く。
アサク「俺、結婚しちゃったんだな」
イリア(心)「本当に結婚したわけではないのに、なぜかお兄さんが取られた気がします。イリアが落ち込む理由なんか、ないはずのに、この気持ちは……?」
イリア(涙目でアサクに抱きつく)「イリアはずっとお兄さんと一緒にいます。イリアを一人にしないで」
アサク「? どうした? 大事な妹を置き去りにするはずねえだろう。よしよし」
イリア「イリア、お兄さんが大好きです。お兄さんのお嫁さんになるのはイリアだけですよ!」
アサク「え?」
一瞬、沈黙の時間が流れた。
話を変えようとゴーストカードが言う。
ゴーストカード「これからどうします? マスター」
アサク「俺がエデンの村に向かう前に、すでに妖精界の時間図書館で『逆時震盪』が起きていた。そして、今回の人魚国、正直ショックだよ……妖精界の現状が気になる。だから妖精界へ行こう、もしかしたら時間図書館でなにか新しい手がかりが見つけるかも」
一同「うん!」
【折畳ノ廻廊】を開いた。アサク、イリア、ゴーストカード・ウダ、魔獅子・サモエドに新たに加えた幻狐・フルフェ、一行が次なる目的地・妖精界へ向かう。
第六章:矛盾たる真義宝典
神説年暦36722年 8月28日 水曜日 午後七時
アサクたちが妖精界に到着するものの、妖精の森に迷い込み、どうしても妖精王国にたどり着けない。
アサク「妖精界の結界って厄介だな、まるで迷宮みてぇだ。どう歩いても出れねえし、【折畳ノ廻廊】で直接伝送もできない。これじゃいつまでたっても時間図書館にたどり着けねえぞ……」
新しくできた友達のガガ鳥を肩に乗せて、イリアも疲れた顔でいう。
イリア「もう歩けません……少し休憩しましょうよ、お兄さん」
フルフィ「腹減ったー」
アサク「しかたない、キノコを採ろう」
フルフィ「ええ~来てからずっとそれじゃん……」
その時、おいしい匂いがどこから漂ってきた。たどってみると、池の近くに美味しそうな鍋が出来上がっている。
アサク「いい匂いだ!」
フルフィ(マイ食器を取り出して)「準備万端! 食べよう」
アサク「持ち歩いてんのそれ」
フルフィ「みなの分もあるぞ~」
ゴーストカード「盗み食いはよくありません……」
イリア「ひ、一口だけなら、大丈夫ですよね、本当にいい匂い……」
魔獅子は何も言わないが、腹の虫は誠実だ。
おいしい匂いの誘惑に負けて、みなにして “おいしい、アツアツ”と言いながら食べ始めて間もなく、一人の巨漢の怒鳴り声が響く。
巨漢「こら! 盗み食いめ!」
が、アサクと目が合う瞬間――
アサク「カーバン!」
カーバン「アサク!」
二人は古き友と久々再会した嬉しさに抱き合った。そしてゴーストカードと魔獅子にも。
カーバン「まさかまた精霊の守り神たちに会えるなんてな。会いたかったぞ!」
イリアも嬉しくてカーバンに抱きついた。
イリア「これ、カーバンさんが作った野原スープだったんですね!通りでおいしいわけですわ~」
アサク「無事でよかったよ~カーバン」
カーバン「俺先月に火族製錬師の修業を遂げるための素材集めをしに、精霊界から幻獣界に行ったんだ。帰ろうとしたら精霊界が丸々消えた感じでなぜか帰れなくて、連絡しようにも手段がないから、妖精界で何かわかるかもって思って。そんで今食いしん坊のお前らと会ったわけだ。な、精霊界に一体何があったんだ?」
アサク「……カーバン、落ち着いて聞いてくれ」
そしてことの顛末の説明を聞いたカーバンが、力が抜けたように座り込んで、またすぐ起き上がってアサクの胸元を強くつかむ。
カーバン「じゃあみんなは? 他の精霊たちは今どうなってる??」
アサクはカーバンの手が離すようにつかんで、俯いてゆっくり口を開く。
アサク「無事脱出した人がどれくらいいるかわからない。今のところ、俺たちが会えたのは、あなただけだ……」
カーバン「……くそ!」
悲憤に満ちたカーバンの拳は、一発で軽々しく森の木々を殴り折った。
ゴーストカード「カーバンさん、どうしたら妖精王国に入れるかわかりますか?」
カーバン「知ってる。でももう日が暮れた。妖精王国を覆う結界が夜になると無限ループの迷宮になる。王国へ続く道は昼でしか現れないから、日が昇るのを待つしかない」
イリア「本当に迷宮だったんですね。お兄さんが方向音痴だからとばかり思いました」
フルフィ「待つしかねえんだろ?明日のためにも今は腹ごしらえして休もう」
アサク「そうするしかないようだ」
魔獅子「みなさんは休憩を。夜番は自分に任せてください」
カーバン「そういえば、この白いキツネって誰だ?」
アサク「幻獣になった【光ノ槍】だよ」
カーバン「ええ~~、ちょっとアサク、お前、まだ何か隠してねえか?」
アサク「横になりな、ゆっくり話すよ」
神説年暦36722年 8月29日 木曜日 午前八時
朝、アサクとカーバンははっきりと目の下にくまがついてる。一晩中人魚国の出来事をしつこく聞いて、二人とも一睡もしなかったのだ。
ゴーストカード「お二人さん、一晩中ずっと話し込んでてうるさかったですぞ」
魔獅子「同意」
アサク「しつこく聞いてくるカーバンが悪いんだぞ」
カーバン「だってさ、まさかアサクが結婚するとはな、人魚国の国王にまで……それに、あんなのあんまりだよ……」
アサク(軽く肩を叩く)「丸一夜感傷に浸っててもういいだろ? はやく妖精の村に連れていってくれ」
荷物をまとめて、カーバンに続いて森に入り、しばらくして、一つの吊り橋に着いた。
カーバン「この先が妖精の村だ」
村に入ると、そこにはもうひどい光景になっている。
妖精界の東北方向、つまり時間図書館が位置する方には、険しい炎が燃え上がっていて、どうやら魔物が出てこれないように囲んでいるらしい。城下町あたりが戦闘の跡がみられるが、幸い損害が大きくないようだ。
村の妖精たちはみな疲れた様子で、その中に怪我人もいる。アサクをみると、すぐ慌てて知らせに人を出した。
村の妖精「早く女王陛下にお知らせを! 精霊界のアサク様が来てくださったぞ!」
一人若い妖精が駆けてきてアサクに話かける。
若い妖精「アサク様、待ってました! 早く王城にお越しください。女王陛下がお待ちです」
アサクたちが妖精王城に案内され、妖精女王・ルナミアに謁見することになった。
途中に見る正殿がひどく損傷であちこちボロボロになっていて、妖精女王もひどい怪我を負い、寝室に寝込んでいる。寝台のすぐそばまで案内されると、女王に付き添う侍女の一人が、カーバンに飛び込んで泣き出した。
カーバン「俺たちが来たからにはもう大丈夫だ、サナ、心配するな」
アサクとイリアはもう一人の侍女の傍に。
イリア「サヤお姉さん、大丈夫ですか。」
アサク「事情を説明してくれ」
サヤ「二ヶ月ほど前、時間図書館の中央ホールに見たことないコアが現れ、たくさんの魔物が出てきて……女王陛下がすぐ兵を向かわせたんだけど、翌日に急に強烈な震波が起きて、図書館一帯の景色が変わったし、そこにいたはずの人々もみなどこかに消えて……それからすごくでかい岩石巨獣が図書館の外壁に登り出ると、まるでそれが合図みたいに、魔物が外に拡散して周りを攻撃し始めたんです。村がもちろん、王城も免れなくて、最後に女王陛下が古代神器【火竜ノ斧】を異変の境界線に刺して炎ノ結界を張ってやっと、魔物を閉じ込めることができました」
サナ「境界線を越えた魔物を辛うじて退治したけど、それで女王陛下に怪我を負わせてしまいました……守り切れなかった私たちが悪いんです……私……」
そう言ってサナまた泣き出す。
アサク「今すぐ時間図書館に向かって魔物を消してくるよ。でもあなたたちはついてくるな。逆時震盪の影響を受けないのは精霊である俺たちだけだから」
その時、妖精女王が目を覚ました。侍女の二人はすぐ女王の傍にいって、起き上がるをの支えた。
ルナミア「精霊界での出来事はもう、夢を通してすべて知った。これは巨大なる陰謀である。敵が時間図書館を狙った理由は歴史を歪ませること。おそらく図書館で巻き戻された時間の記録は消えてしまったのだろう。どうかそこにある【真義宝典】を探し出して、わらわに届けてほしい。まだ修復できるやもしれぬ」
サヤが一つの水晶玉を取り出してイリアに渡した。
サヤ「この水晶は君たちがいるところの様子を映してくれます。これで【真義宝典】を探すのを手伝います。」
イリア「水晶でこんなことができるなんて、すごいですわ」
アサク「一刻も争う事態だ、出発しよう」
サナ「ご案内いたします」
神説年暦36722年 8月29日 木曜日 午後十二時
みなは【火竜ノ斧】を刺したところまできた。
サナ「一緒に入れないから、私はここまでです。どうかお気を付けて」
カーバンが【火竜ノ斧】に向かって言う。
カーバン「カイネ、お前まだやれるか?」
が、【火竜ノ斧】からなんの返答もない。
カーバン「どうやら炎の結界に集中してるらしい。邪魔しないでおこう」
アサク「でも、どうやって入るんだ?」
カーバン「俺は火の精霊だぞ、任せろ。 (両手を前に掲げて)陣防術・赤焔ノ壁」
カーバンがそう唱えると、火で構成された壁が結界の炎をかき分けて、時間図書館まで道が現れた。
【不帰ノ羅針盤】で測ってみると、なんと、1500年もの年月が巻き戻されたのだ。
アサク「1500年も? なんでそんなに昔にまで……とりあえず今は、中にあるコアを封印して魔物を消すのが先だ。いくぞ!」
火の道を通り、無事にホールまで着いたが、やはりそう簡単にはいかず、図書館の外壁にいた岩石巨獣が、魔物をつれてコアを守りにまた戻ってきた。
ふと気づくとイリアの隣が三尾猿になっている。
アサク「友達変えるの早すぎだろ」
イリア「ガガ鳥は火が苦手なんです。だから三尾猿に付き合ってもらうことにしましたの」
アサク「逆時震盪した空間に入って無事でいられるのは俺たち精霊だけなんだろ。なんで三尾猿を連れてこれたんだ?」
三尾猿がなぜかイリアと同じ淡いピンクの光を発している。
ゴーストカード「僕と魔獅子がこの空間に入れたのは、マスターとの主従関係でマスターの精霊の力で守られているからです。今三尾猿もイリアさんと主従関係になったから、同じように守られていますよ」
イリア(三尾猿を抱いて)「怖がらなくてもいいですよ。イリアお姉さんが守ってあげますわ。一緒に冒険しましょう」
アサク「あっそ。早いとこ用事を済ませようか。イリア、あなたはカーバンと水晶玉を持って【真義宝典】を探してくれ、戦闘中に壊れたりしたら大変だ」
カーバン「おう。イリアちゃんを俺が守る。任せろ」
そして魔獅子を召喚して魔装に変身させて防御を整えるが、ゴーストカードが【日輪ノ剣】に変身できない。
ゴーストカード「図書館の中では日の光が弱すぎて変身できません。このままフォローにまわります」
フルフィ「じゃ俺が!」
そういって【光ノ槍】に変身。槍を手に持つアサクは一振りして嬉しそうに言う。
アサク「この感覚、懐かしいぜ! 一緒に戦うのも久しぶりだな。星雲貫通銃!」
すぐ技を出して岩石巨獣と戦い始めた。
一方、イリアは水晶玉を通し、サヤの誘導を頼ってカーバンと一緒に【真義宝典】を探す。邪魔する魔物を、カーバンは図書館の土属性を利用して“陣防術・石屑爆撃”で打ちのめし、やっと宝典にたどり着けたが。なんと、コアの出現場所が、宝典の真上だ。
カーバン(叫び)「アサク! 宝典を見つけたぞ! コアもここだ!」
三尾猿が隙を見て宝典を取り出して、イリアに渡した。襲い掛かる魔物はカーバンが相手している。
岩石巨獣との戦いがどうもうまくいかない。防御が硬すぎて、傷一つまともに与えられないでいるアサク。
アサク「かたっ!これじゃ倒せそうにないぞ」
フルフィ(半泣き)「いたたた! 壊れる! 俺壊れちまうよ~~」
岩石巨獣の強力な一撃で、アサクとゴーストカードがぶっ飛ばされた。
魔獅子「マスター、申し訳ございません。もう…」
言い終わらないまま、魔獅子の変身が解けてしまい、地に転んで、傷だらけになっている。
アサク「倒せないなら策を変えよう。動けないようにして、先にコアを封印すれば、こいつも消えるだろ!」
フルフィ・ゴーストカード「どうやって??」
ゴーストカード「あっ! (フルフィをみる)光をください!」
フルフィ「! なるほど! その手があったか!!」
ゴーストカードが【光ノ槍】からの強い聖光を浴びて変身し、融合して【天斬のエクスカリバー】となった。【天斬のエクスカリバー】で岩石巨獣を射ぬいて壁に釘付けた。
魔獅子に乗ってコアのところに駆け付けて、【聖獄ノ籠】で封印すると、魔物が一斉に消えた。やっと一件落着と放心して、みんな力尽きで地に倒れた。
妖精王城に戻り、宝典を女王に渡すと、女王は妖精界の生き残った記録士を集めて、過去1500年分の歴史を再び宝典に書き込んだ。が、そこに一つ重大な矛盾を、女王は気づいて、すぐアサクたちを呼んだ。
ルナミア「この世のあらゆる命・物・出来事を記録している【真義宝典】は、間違いはないし、不足もあってはならない。だが……」
アサク「どうしましたか?」
ルナミア「……そなたに関する記述が、一切ないのだ。つまりはアサク、そなたがこの世に存在しないことになる!」
まるでこの言葉を合図のように一瞬周りの空間が歪みだして、それが消えた時には、人々の顔色が何やら違うように見えた。
サヤ「あなた誰ですか! 勝手に踏み入れるなど許されませんよ!」
サナ「侵入者がいます! はやく女王陛下をお守りください!」
ルナミア「この無礼者、わらわの寝室とわかっての所業か」
アサク(慌ててカーバンに)「俺のことわかる??」
カーバン「もちろん」
アサク「イリアは?」
イリア「大好きなお兄さんを忘れるわけありませんよ」
アサク(魔獅子・ゴーストカード・フルフィに)「あんたたちは??」
魔獅子「覚えてます」
ゴーストカード「覚えていますよ」
フルフィ「覚えてるぞ」
アサク「じゃあ、いったい何が……」
女王を守るべく妖精の禁衛軍が駆け付けて叫び出す。
妖精兵士「侵入者を捉えろ!」
カーバン(サナに向けて)「俺のことわかるかい?」
サナ「? カーバンさんでしょう? あなたとイリアちゃんがいてくれたおかげで、コアの魔物を退治できましたわ」
カーバン「どうなってる? そうじゃないんだ、こいつが俺の仲間のアサクだぞ??」
ゴーストカード「とりあえず逃げましょう、マスター」
奇妙な状況で仕方なくカーバンとイリアをその場に残して、魔獅子がアサク、ゴーストカードとフルフィを乗せて窓から寝室から逃げ出した。魔獅子の背に乗って逃亡するアサクは、複雑な気持ちで遠く眺める。
アサク「それじゃ俺は、誰だ?」
to be continued~
google play 圖書『アサク伝X真龍の魂』
異形奇花結局 在 一本好小說的誕生(拿起筆就能寫) Facebook 的最讚貼文
真正重要的東西
用肉眼是看不到的
這綽號不是我取的,小時候街坊鄰居都這麼叫她,是誰先起的頭不得而知,主要和她外表給人的第一印象有關,她總是動作慢吞吞,說話也是,時常一個句子講不完整,需要別人從旁提示或提醒,才能把話說清楚。
只見她艱難的吐出破碎的詞句,彷彿嘴裡含著一顆看不見的魯蛋,有時舌頭都快要打結了,還是無法表達她內心的意思,聽她說話會捏把冷汗,深怕什麼異世界的怪物會突然從她嘴裡竄出來似的,或許異形之類科幻片看太多了吧,那種帶有黏著感的觸手始終在眼前不自然地擺動。
需要比一般孩子花費更多時間針對簡單的詞句進行重組,她生來大腦就缺了好幾個零件,怎麼運作怎麼不順暢,她的母親帶去給鎮上的小兒診所給醫師檢查,做了好幾項的測試,也找不出正確的病因,不過她的學習能力確實是比同齡的孩子慢很多。
真正重要的東西,用肉眼是看不到的。
母親很擔憂地看看少女,又看看醫師的表情,凝重嚴肅的氣氛讓空氣暫時忘記流動,醫師低頭不語,默默地在診斷表上寫了好幾行潦草的英文字,大抵是看不懂的專業醫學名詞,母親直嘆氣說自己命苦,怎會生個孩子來折磨自己,說著就自顧自地掉下淚來,護士在一旁連忙抽了面紙遞給她,醫師對母親搖了搖頭,說這個情況並不樂觀,可能不是短期間投放藥物能夠治療得好,問她是否曾經發生過什麼,導致少女的大腦產生病變。
「有沒有生過什麼奇怪的病啊?」
「仔細想想,還真想不起來哎。」
「她是早產兒?」
「不是哎,懷胎的時候還正常。」
「會經常半夜哭鬧?」
「也沒有耶,不過有件事我想起來,該不會跟這有關?」
「妳說來聽聽。」
「就是有次莫名的發燒,燒到41度,把我嚇壞了。」
「後來呢?」
「找醫師看,醫師說沒事,給了退燒藥,燒漸漸退。」
「診斷不出原因嗎?」
「是的,從那以後,我女兒變得很安靜。」
「很可能是這個,妳要不要帶去大醫院做檢查。」
「這樣啊,會不會很嚴重呢?醫師。」
「大醫院有更好的儀器,或許對妳女兒會有幫助。」
大概進行了如上的對話,母親於是又帶著女兒前往城裡的大醫院進行更詳細的檢查,前前後後花了不少錢,身心科和腦神經外科也有聯合會診,最後聽專業的心理師說,極有可能是認知遲緩方面的問題,大概在三歲以前透過專業人員的協助可能治癒好的機會有五成以上,錯過了黃金期,未來孩子的學習能力,認知能力以及情緒溝通上會產生障礙,造成無可彌補的遺憾,但發現的時候早已過了黃金期,在醫學常識不足又沒能在第一時間尋求協助的情況下,少女除了性徵逐漸成熟之外,各方面的學習都有遲緩和停滯的現象。
她無法順利的融入人群也不是一兩天的事,尤其她還有深度近視,眼鏡的鏡片把她和這世界以一種透明的方式隔絕了起來,她很吃力的透過眼鏡近距離的辨識她想要認識的環境,每一個物品,每一處角落,每一本書,都很仔細的用手去觸摸它,用眼睛逐一確認,從側面看來更像是蝸牛伸出長長的觸角,去探知這世界極細微的變動,她的眼睛畏光又敏感,這使她待在不那麼明亮的地方反而格外有安心感。
同學的言談,下課後的活動,她永遠都跟不上他們的節奏,好像放慢了好幾倍速的音樂,你完全聽不清楚旋律,只是一些無意義的音頻在干擾著,而這一切都是無聲無息的進行著。孩子比大人更殘忍,他們不會避諱內心的厭惡感,他們會拿一些東西砸在她身上,他們會用廁所裡的水桶,在她身上潑水,那些還是剛才掃除使用拖把的髒水,他們會在她的頭髮上塗抹膠水,或直接拿膠帶纏在她身上,盡其所能的嘲笑她,給她取各種奇怪的綽號,而「蝸牛少女」這個稱號就是這麼來的。
你看過伊藤潤二的漫畫嗎?
有個恐怖的短篇叫做【蝸牛少女】印象太深刻了,有人據說看了當晚就做惡夢,故事述說一位憂鬱的女孩患有口吃的毛病,同學也不大和個性陰暗的她做朋友。
有一天女孩早上醒來,準備要刷牙洗臉的時候,從鏡子裡發現自己的身體有異狀,她張開嘴巴,感覺有東西要冒出來,結果她的舌頭,變成了蝸牛的形狀,還伸出又細又尖的長長觸角,伸出牙齒外好像要爬出來似的,那模樣既噁心又恐怖,鏡中的自己簡直跟怪物沒什麼兩樣。
女孩受到極大的心理衝擊,從那天起她就不去學校上課了,因為感覺噁心,飯也吃不下,自然一句話也不肯說,父母擔心她不曉得怎麼了,學校那邊也請了長假在家休息,可是女孩的情況絲毫未見好轉,面容日漸消瘦,被父母逼急了,女孩就一直哭,直到父親發現床邊不明的黏稠液體,沾的到處都是,才知道女孩的舌頭變成了蝸牛的事實,父親難以接受,情緒也變得激動異常。
某天上午,父親跟公司請了假,去街上買了許多袋裝的食鹽回到家,就大把大把的往浴缸灑,如此重複著動作,直到浴缸的一半以上被鹽巴覆蓋住,於是喚了女兒叫她把衣服脫了,將身體埋在浴缸的鹽巴裡,企圖將她身上不潔的東西趕走,或說是消融,蝸牛或蝸蝓類的很怕鹽巴,因為會把它們身上的水分吸乾,最後就像乾掉的膠水一樣,你甚至可以把牠直接從沾黏的部位撕下來,毫不費力。
你猜怎麼著?
女孩埋在鹽巴裡的身體果真完全消融了,只有她的那顆頭還好端端浮在浴缸裡,她的眼睛鼻子嘴巴都還在,頭髮也分毫未動,惟獨身體被鹽巴吸的水分一滴不剩,整個縮小到迷你的地步,做父親的未能如願解決女孩的困擾,反倒增加更多的困擾,女孩的身體瞬時縮成無法想像的尺寸,卻頂著那顆頭,露出哀怨的眼神,直盯著她的父親,終於她父親也崩潰了,久久無法自己的發出絕望的尖叫,從那之後,女孩再也沒能恢復原本身體的形狀,她已經好久沒有去學校上課了。
漫畫最後的結局是,當同學們經過少女的家門口,偶爾會看見露出圍籬的那棵樹上,有個類似蝸牛的物體在樹枝上緩慢爬行,沒錯,那就是蝸牛少女,有著黏稠帶著汁液的身體小小的附著在樹枝上頭,在其上掛著一顆如假包換的頭顱,不時還會朝著你這邊的方向看,用她無法形容的哀怨又憂鬱的眼神,似乎在說著一段艱難的故事,但每個字句都被消音,她永遠也無法回到人群之中,沒什麼可以好好說清楚的,那樣的眼神至今還留存在我的大腦,無法洗去,一想到就覺得好噁心,像眼皮上沾著膠水,心也彷彿被什麼奇怪的東西牢牢黏住,拔也拔不下來,一直附著在上面。
其實我們家附近的那個少女已經不是少女的年齡,她沒辦法正常去工作,她對於交辦事務的理解力差到一個不行,好像除了機械式的事務,例如倒茶或影印,打掃廁所之類,勉強還做得來,其餘的事交托給她,最後都會搞砸,因為她很難有彈性去處理細節的部分,又因為過度自卑,她常覺得別人都在罵她笨,即使同事並沒有真的開口說出來,平時的她很安靜,可到了情緒衝破臨界點的時候,她會突然歇斯底里的亂叫,接著大哭,她無法控制自己在一個恆定的情緒狀態,要不就是安安靜靜不說話,要不就是把辦公室鬧得天翻地覆,長久下來,好幾個工作都做不久,離開辦公室,她連服務業的兼職也無法勝任,更別說超商或速食店,這世界跑得太快,她只能很慢很慢的行動,很慢很慢的去感受。
她的時間和我們不同,她現在三十幾歲了,偶爾在社工機構或庇護工場幫幫忙,以志工的身分在母親的陪同下,去參與一點點不那麼需要大腦的工作,對方也很友善,會供應她一些茶水點心,或者搭伙一起用餐,她不太會控制表情的肌肉,她不會笑,她不知道要做出笑的動作,需要用到臉部的哪幾條肌肉,但她時常在哭,有時候大哭,有時候躲到沒人注意的小角落,一個人偷偷的哭。
她的眼睛會哭到整個腫起來,像金魚的泡泡眼,眼眶泛紅不說,睫毛也沒幾根留在上面。她隨身有個手帕,那是用來擦眼淚的,擦完之後她會小心翼翼的收在外衣口袋裡,那條手帕總是濕的,上面沾著的不是汗水,而是她的眼淚,像擰不乾的毛巾那樣,我相信她的內心也是陰暗潮濕,外頭的陽光很難進入她的心房,她活在一個自我封閉的世界裡,有需要的時候,她的觸角會怯怯的往光亮的世界伸出去,又敏感的退縮回來,畏光的她還是待在黑暗最安全。
當她出現在巷弄書店的時候,那是她最開心的時刻,我說過她不會笑,但她會很仔細把架上每一本書都摸過,她喜歡翻開書聞裡頭散發的氣味,她說那味道很好聞,但她無法形容是如何的好聞,她無法形容鮮花的香氣,也無法形容好吃的蛋糕散發的奶香和糖香,她真的會湊近去看那些她喜歡的書的封面和內頁,喜歡的話她會多翻個幾頁,她會很執著的想買某本書,跟她一道來的母親很困擾,每次都叫她放回去,家裡用不到,想看書圖書館可以借,買了又沒有看完很浪費,妳不需要這些書的,把它放回去,我們待會還要去買菜,妳不要一直拿著那本書,快放回去,我們該走了。
她母親的不耐煩完全寫在臉上,這時候我不動聲色,只見女生一直在糾結該不該把書買回家,她會呈現焦慮的狀態,抱著書來回走動,或是快速的把書從書架抽取下來又放回去,感覺不是在幫我整理書架,而是以某種緩慢的節奏,讓書架呈現混亂的狀態,我並不會立刻去制止她的行為,因為我知道那時的她,既放鬆又興奮,既緊張又焦慮。
矛盾的情緒好像打果汁一樣,在她的內心攪成一團,你分不清是什麼顏色,往往一個小時過去,她還是決定不了自己要買哪本書,只要是她喜歡的書,都會拿過來櫃台問東問西,她說話很慢,而且沒有重點,我必須試著猜她想要問什麼,適時的提示她關鍵詞,去引導她說出自己真正要說的話,但我知道她什麼也不會買,只會有個不耐煩的母親在身後催促她趕快離開。
書店作為一個療癒的所在是有原因的。
每本書在手指觸碰的當下有著難以形容的溫度,就像我們走到大自然會下意識的去擁抱大樹,去觸摸樹的外皮,去觸摸花草或泥土,觸摸本身是很療癒的動作,再加上書頁的油墨印刷散發的氣味,紙張本身也有味道,紙張和空氣接觸之後產生的質變,也讓紙張在不同的情況下,味道有些微的變化,那個女生雖然表達不出來,但我知道她內心是喜悅的,這就夠了,書店是為了這樣的讀者存在。
書店是為了失敗者而存在的。
圖 / 山田綠 貓咪和花朵
文 / 銀色快手(Silverquick) 20190604 AM 05:28